2018/09/09 13:53

新潟市美術館では9月6日から企画展「〈正・誤・表〉美術館とそのコレクションをめぐるプログラム」が始まりました!
この展覧会、なんだかいつもと様子が違って、実験的な内容になっているんです…!


〈正・誤・表〉美術館とそのコレクションをめぐるプログラム
2018年9月6日〜9月24日(月・祝)
休館日:9月10日(月)・18日(火)
開館時間:午前9時30分〜午後6時(観覧券の販売は午後5時30分まで)

観覧料
・一般 200円(20名以上の団体160円)
・大学生・高校生 150円(20名以上の団体110円)
・中学生・小学生 100円(20名以上の団体70円)
*チケットは、コレクション展Ⅱ「LANDSCAPE  水土の作家×NCAMコレクション」と共通です
*土・日・祝は中学生・小学生無料

展覧会詳細についてはこちら↓
新潟市美術館ホームページ:http://www.ncam.jp/exhibition/4576/


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「美術」を展示することを展示する。
「美術館」を展示する。
たぶん、それは不可能。

正誤表は、とても不安定で、動的なものです。
いずれかを「正しい」とか「間違っている」と定めているようで、不意に更新され、複数の版が互いに矛盾します。
原本から取り紛れてしまえば、それが何かに対応していたか、分からなくなることもあります。
美術と美術館のありようは、この正誤表と通じ合うのではないでしょうか。
これまで展示の機会がなかった所蔵品の展示や、他社の「たいせつなもの」について考えるワークショプなどのプログラムを通じ、もろもろの価値・判断・状況の「不安定さ」を観察します。
〈チラシより抜粋〉


???
「言わずもがなをあえて問う」「美術館で笑う、世の中を考える」…
チラシを見ても?が並ぶこの感じ。でも、何だか気になる、今までに無い展示の予感はしますよね。

本日は展覧会の様子と共に、関連企画として開催されたワークショップ「わたしたちのたからもの」に参加してきたのでその様子をご紹介します^^

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8月22日、新潟市美術館にてワークショップ「わたしたちのたからもの」が開催されました。
内容としては
・学芸員が展覧会をつくる仕事を、一連の流れとして体験する。
「宝もの」を借りる/貸す
→なぜ大切なのか、話を聞く/説明する→運ぶ→展示する→返却する
というもの。
さらにこのワークショップでの内容を正・誤・表の展覧会で展示してしまおう!というのです。

美術館で作品鑑賞をして作品について考えたり、感じたりすることはあるけど
作品自体がどのように選ばれ、展示されてるかは考えたことはありませんでした…
しかも展覧会の一部として展示されるの⁈この内容はなんだか気になる!

と、いう事でミュージアムショップルルルのスタッフである私、関も参加してきました!
年齢は様々(最年少は小学校6年生!)な初めまして、の皆さんが集まりました。
自己紹介をして、和気あいあいとしながらスタートです。


まずは〈①借りる・話を聞く・運ぶ〉の内容。身近な人(家族や友達)の「宝もの」(とても大切なもの)を一つ借りて、展覧会期間に展示することを説明し、借りてきます。ちゃんと「貸出許可書」「借用書」も記入してもらいます。その借りてきた「宝もの」と、それを貸してくれた人の話をこの場で発表します。

これが面白かった〜!他人から見たら?なものが思い入れがあったり、きっかけがあったりでしっかりその人の「宝もの」なんです。
リュックやアイドルのポスターやラケットなどなど… 普通に生活していたら見過ごしそうな、というか出会えないであろう「宝もの」が並びました。お借りするのに苦労した、という話とかエピソードがどんどん溢れてきます。


そしてその聞いてきた話を用紙にまとめます。
借りてきた「宝もの」は展示され、この用紙も一緒に並べられます。言わばキャプションの役目ですね。決められた文字数内に、簡潔に、伝わるように書く。簡単なようで結構悩んでしまいました… 頭使ったな〜
ちなみに私は父から借りました。「宝もの」トーク、結構面白いですよ。身近な人に聞いてみてください!案外盛り上がるので^^


そして次は〈②貸す・説明する〉。自分の「宝もの」を一つ持ってきて他の参加者の方に貸してあげます。
それが何か、なぜ大切なのか、を説明します。借りる人は、それをメモにとり、その「宝もの」と、その持ち主の話を発表します。一時的でも借りるので壊さないように、大切に、両手で扱います。ペア内で貸し手、借り手となってお互いの話を聞いていきます。

このワークショップに参加するには自分の「宝もの」を持ってこなきゃいけません。こちらも結構悩みました…
私の「宝もの」ってなんだ?  高価である必要は無く「とても大切だ」と考えているもの。大事に大事に飾っているようなものは無いし…
悩んだ末にガラスのコップを選びました。10数年以上毎日使っているコップです。壊れたり、無くなったらとっても悲しいものです。

そしてこれが「なぜ大切なのか」をペアを組んだ相手に説明します。思い入れのある「宝もの」について話しているうちに色々と自分の中を紐解かれて行くようで、ちょっと気恥ずかしく、照れちゃうような感覚でした。


借りる人は持ち主の話を発表します。気になる点は質疑応答もあり。ちゃんと相手の話を聞き取れていたかどうか、もポイントでした。
そしてまた用紙に内容をまとめ「宝もの」と一緒に展示されます。色々な思い出やエピソードがある「宝もの」です。それがちゃんと伝わるようにと書いていきます。


最後に〈③展示する〉。「宝もの」たちがずらりと並びました。説明を聞いた前と後では人の「宝もの」の見え方も違ってきます。よくぞ貸してくれました!大切なものをありがとう!てな具合です。説明の用紙も並んで、それぞれいい顔をしているように感じました。

ワークショップはここまで。180分という時間があっという間に感じられる充実した内容でした。相手の「宝もの」ですし、失礼のないよう大切に、伝わるように、と思うとかなり神経を使いますね。展覧会の作品1つでも色々な背景が、やりとりが、ということが想像できました。

実際の展示作業は学芸員さんにお任せします。はてさて、この「宝もの」がどのように展示されるのでしょうか…


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気になる「正・誤・表」の展示の内容ですが…

◆新潟市美術館コレクション「価値と評価」
こちらは所蔵作品の中から、なぜかあまり展示や他館に貸し出されていないものを紹介します。中には展示会数ゼロ、他館への貸し出しもゼロという初展示の作品もあり!なぜあまり展示されていなかったのか、ぜひご自身の目で確かめてくださいね。

◆実験公演「プラスマイナス3センチの笑い」
9月23日(日)午後2時〜 企画展示室内 要予約
ナツノカモ(構成作家・演出家・ナレーター)による特別公演。残念ながら新潟市美術館での申込締切は9月5日までということで過ぎてしまいましたが…±3事務局のtwitterを見ると予約を受付中です。展示室内でお笑い⁉︎これも新しい!

◆前川ごのみ
新潟市美術館の竣工(1985年)当時から伝わる「備品」を紹介します。建築家・前川國男の「好み」を展示室で見ることができます。実際に館内で使われている備品なので、皆さん目にしたことがあるかも。それがライティングされ、展示され、またそこに実際に座れちゃうというものです。どれもかっこいいですよ〜

◆ワークショップ展示「わたしたちのたからもの」
先ほどレポートしたワークショップ内での「宝もの」が展示されます。これは私も楽しみです!まさか自分の宝ものを披露する日が来るとは〜〜

◆特別展示「新潟古町六番町 喫茶店・白十字の記憶」
2014年秋、70年近い歴史を閉じた老舗喫茶店「白十字」の店内を飾っていた抽象画連作や、照明器具、椅子を展示します。
なんと!あの白十字の記憶が展示されちゃいます。もう、これ貴重すぎますね。これは見ておかないと!

この他にもシリーズレクチャー「美術と世の中、とか外」と題して全4回の講演会もあります。
講師の方を招いての講演会もあり、当館の館長や担当学芸員による会もあり。内容盛りだくさんの展覧会です!

詳しい情報は新潟市美術館ホームページをチェック↓
日々の様子は美術館facebookをどうぞ↓

日に日に変化がありそうな不思議な展覧会です。ツッコミどころも満載。なんで???と思う事も多々あり。
私も見てきましたが、面白い!!!です。とにかく見てください〜という何とも告知のしにくい内容となっていました…

最後に少しだけ会場内の様子を。
(注:ネタバレしないで!という方は見ないように)


お〜〜〜!立派にライティングされて展示されてる!


ん?何ですか?片付けないの?


白十字のあの照明が…!の奥に誰かいますね、どういう事だ??


壁に斜めに立てかけてある作品…どういう意味???


またですか?片付けないの〜〜??


ありましたありました!初公開作品!


やたらとランダムな椅子…その意図は?


何だか面白い展覧会となってます。
会期は9月24日(月・祝)まで!ぜひお見逃しのないように〜!!

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